今は、心理カウンセラーで、
診療所だと、夫婦、パートナーの問題、家族、職場、ママ友の対人関係の悩みが
きっかけで精神症状を抱えてくる人もいる。
そういう対人関係の相談は、自分にとって、とても関心がある。
もちろん、自分の私生活がうまくいっているからではなく、自分を棚に上げて、主に技術で精神療法をしているのだけれど。

初めから、この仕事を目指したわけではなかったし、私の学生時代は、まだ認知行動療法は、輸入されていなかった。日本では心理学は、まだ精神分析などで、あまり実用的なものではない時代だった。

高校の頃、進学して理系を選んだのは、
単に、数学、英語がましで、
古典や歴史のような過去を覚えても、将来、役に立つとは思えなかったからだ。
当時は、アートに夢中で、美大も考えたが、何か漠然と学問がしたかった。
中学の頃は、電子部品を買ってきて工作なんかも好きだったけれど、高校になると、そういうものの興味はまるでなくなっているのに、電気電子工学科を志望したのは、理工学部の他の学科はもっと興味がなかったからだ。
アートと音楽に夢中な私は、嫌な暗記モノ科目はほとんど勉強しないので、共通一次試験がある国立は困難で、私学となると医学部は、学費が高いので論外だった。

そして、大学の電気科に入って、気づいたことは、
電気科は、エンジニアを目指すためのところだということ。
同級生のほとんどは、みんなそういう企業へ就職していった。
でも、その頃は、ぜんぜん機械に興味がない。

今から考えれば、当時から既に、機械よりも、アートとか、人間の方にしか興味がなかったわけだが、気づくのが遅かった。
かといって、理工学部には、エンジニアなど理系の募集の求人しか来ない。
そのため、大学に一時、行かずに、バンド活動やマンガを描いたりしていた。
でも、バンドは、活動を始めてから、プロで食べていくほどの実力はないと知らされ、マンガに本腰を入れた。
そして、大学の在学中に、新人賞をとったので、これでプロになれないかと考えていた。
その新人賞は、私の少し前に高橋留美子さんも、同じ佳作を取っていて、そういう絵もギャグも面白い作品を目指していて、小学館のスピリッツの編集者が、1年以上、ついていたが・・・ダメだった。
自宅で一人こもって、ギャグを考えるのが、ぜんぜん向いていなかった。
友達と、バカ話するのは、すごく好きだったのだけれど、相手がいないとダメ。
これも、賞を取って、仕事の依頼が来てから気づいた。
ストーリー・マンガというのは、一人で夢の世界に入っていける人でないと向かない。
高校の頃は、絵やマンガがうまい同級生がたくさんいたので、彼らと見せ合いっこするうちに、上達していったのであったが、大学生以降と、マンガでそういう付き合いもなくなっていたんだな。
今となっては、いくらでも、それなりの話を作ってまとめる案は思いつくのだけれど、当時の私には、それなりので済ませる思考の余裕がなかった。
デッサンに自信があるので、当時は絵の質も落としたくなかったって具合。今から5年前の「よくわかる強迫性障害」のイラストは、突貫工事だったから、手を抜けるだけ抜こうって描いたので、20代の頃とは大違い。

20代後半で、いろいろな無理がたたって、強迫性障害になってしまった。私も、組織に属したり、誰かと一緒の方が、道を踏み外さなくて、済むタイプだったのだろうけれど、当時は、気づきもしなかった。


30歳ころの仕事ができなくなったことを経験して以降は、仕事に復帰して、定収入があることのありがたみが、痛切にわかった。
30代後半から40代前半は、病気は治っても、家族の問題が残っていて、まだパート仕事を余儀なくされていた時期。
この頃は、適性もへったくれもないね。フルタイムで働く自由さえなかったのだから。
40代で、福祉のパート仕事をしつつ、大学に行き直して、心理の仕事が、メインになったのは40代後半から。

心理や相談の仕事のいいことは、人生で、うまくいかなかった経験も、役立つことだ。
患者さんに「私も、30歳前後、病気だった」と、よく口にするし、
その後、パート仕事の対人関係で困ったこと、パートさんたちと雑談したり、地域の活動したり、困って相談機関を利用した体験など、いろいろなことが役に立つ。

あと、認知行動療法は、電気科で学んだ自然科学やシステム的な考え方が、役に立つ。

若いころの進路選びのように、情報から想像して、実体験が乏しい判断は、地に足付きにくい。
歳を重ねて、いろいろ経験積んだ分、若いころには見えなかったことに、気づくことも増えて・・・あ、でも、まだ、気が付かないままのこともあったりして。(*_*;

これから職業を選ぶ人には、MIO職業興味チェックリストという検査をしてもらうことがある。
http://careershien.ou.e-osaka.ne.jp/mio/mio/cgi


自転車に乗っていたら、いい香りがした。近寄ったら、蝋梅(ろうばい)が、咲いていた。
201601roubai










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