神保町の駅から、靖国通りを経て、診療所へ向かう。
その途中の店に、いつも一人でいる男性に気がついた。

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テーブル席に一人で、静かに座っている。
窓際の席と決まっていた。

若そうだが、普通の若者とはどこかが違っていた。
さびしそうな顔をしている。

いつも一人だが、誰かを待っているのだろうか?
でも、彼の表情は、今では固まってしまったかのように見える。動かない。

上京したものの、学校か職場になじめずに、「都会は冷たい」と思っているのかもしれない。
そういえば、髪形も、一見、お洒落に見えるが、よく見ると、いつも同じジャケットで、どこかアンバランスな感じだ。
都会になじもうとしても、まだうまくいっていないのかもしれない。

それとも、長い間、待ち人に、無視され続けた孤独が、そうさせてしまったのだろうか?

若いのだから、その人だけにこだわらずに、他の女性を探せばいいのにとも思うが、
よほど素晴らしい女性だったのだろうか?
なすすべもないように見えた。
かといって、ストーカーのようになるわけでもなく、忠犬ハチ公のようにずっと待ち続けているようにも見える。
大昔の歌謡曲あみんの「待つわ」を思い出した。「いつまでも待つわ」という歌詞が繰り返される歌だ。

もし精神的につらかったら、この店から、ちょっと行ったところに、勤務先の診療所があるので、予約をとれば、相談に乗ってあげるよと伝えようかなとも思う。

ただ、店の窓越しに見かけるだけなので、私は、直接、声をかけることはなく、いつも通り過ぎるだけなのであった。


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