イチローさんは、世界のだれもが認める名選手!
今年のメジャー3000本安打の大記録も、多くの人に感激やうれしさをもたらしたろうと思う。

報道ステーションで放映されたインタビューが、YouTubeに載っていた。
その内容が、非常に興味深い点が出てくるので、面白いと思った部分を書きだしたい。
インタビューは、2014年(イチローさんの帽子赤)、2015年(イチローさんの帽子黒)の2回。
 
2015年
「続けてみることは、すごい大事だと思う」
「僕、同じことずっとできるんです」
イチローさん、4ヵ月ずっと、同じ1曲を聞き続けていたそうだ。
聞き続けることで、気づいてくることがあったという。

彼は、バッターボックスに入って、出塁した後も、毎回、同じルーティンを行う。
このような行為は、スポーツ選手でも、強迫的な人と、こだわり的なタイプとがいる。
イチローさんは、この曲のエピソードから、後者のこだわり系のタイプだろうなと思った。

サッカーのベッカム選手は、強迫性障害(OCD)だと告白したが、彼の場合は、自宅の中での物の配置など、不要な部分まで、ペア、偶数へのこだわりを押し通すために、OCDと言ったのではと推測してる。しかし、彼の症状も、OCDというより、こだわりか的な感覚ではないかとも推測される。

こだわりは、自分から執着とか、それがうまくいったときのすっきり感が主で、強迫は、嫌な状況を避けたい、不快感をなくしたいためにやらざるをえなく、習慣となってしまったものという意味である。 
どちらも、他の人はそれほど気にも留めないことに、焦点を当てすぎることと、そのような行動を続けるほど、他の行動に変えることが難しくなることは共通している。
また、 こだわりは、自分の意志によってコントロールできる部分が強いタイプと、性格的な要因が大きく意志によるコントロールが難しいタイプとがある。前者は、中途半端では満足できない感じだが、後者は、ほどほどという感覚が得られにくいという感じ。

イチローさんは、次の会話からも、バランス感覚や、自分の心身をモニターすることに非常に目を向けられるタイプだと思った。

 イチローさん「人体の動きを理解しながら、プレイすれば、ケガを防ぐことができる」
肩に力が入っていると言われたときに「肩の力だけ抜いても、無理。膝の力を抜かなきゃいけない」
「自分の持って生まれたバランスがあるから、それを崩したらダメ」
「トラとかライオンは、ウエィトトレーニングしない。人間は知恵があるから、いろいろなことをやっちゃう」
「筋肉を鍛えても、それを支えている関節や腱は鍛えられないので、だから壊れてしまう」
「情報が多すぎて、どれをピックアップしていいかという問題がある」
「頭でっかちになる傾向がある」
「失敗をしないで、たどり着いたとしても、深みは出ない」
「遠回りすることは大事」
「後から思うとすごい無駄だったというのは、すごい大事なことだと思う」


インタビューの中で、イチローさんは、高校時代からイップスになって、投げられなくなったそうだ。
当時は、先輩後輩の上下関係もきびしく、精神的な影響が大きかったのだろう。
こだわりタイプの少年だと、このような症状が出やすいのは、無理もない。

治ったのは、プロに入った後の97年だそうだ。
稲葉篤紀さんの「どうやって治したか?」の質問に、イチローさんは「センスです」と答えている。
彼の野球人生で、最大のスランプだったそうだが、このような精神的な克服体験は、後の人生に大きな影響を与えたのではと推測できる。
イチローさん、「しんどい思いは、どこかでしておくべきですね。早い段階で」というも、そのとおりである。
(ただし、多くの人は、そのしんどさを自力で克服できないことがあっても自然なことなので、その道のプロを探して、相談するのもアリである。)


2014年のインタビュー
イチローさん「0か100かの考えなんで、僕。やるかやらないか」
この言葉も、彼の性格タイプを象徴している。
インタビューの中では、イチローさんは自分でリードする立場、稲葉さんは、それに応じるスタンスが多い。
これも、二人の性格をよく表している。

イチローさんと稲葉さんは、愛知県の隣の市に住んでいて、お互い少年時代から野球をして、知っていたそうである。
人生の長い期間、出会える関係っていうのは、とても貴重に思えて、それだけで微笑ましいインタビューであった。
 


今年6月に、ピート・ローズ元選手の最多安打記録4256安打を抜いたときに、日米の記録を合算できるかが問題となったが、
1995年、阪神淡路大震災を経験した神戸市民とともに、「頑張ろう神戸」のユニフォームで活躍していたイチローさんは、それだけで偉大であった。
とかく数字には表せない歴史があるものだが、所詮、歴史というのは、そういうもの。


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