TBSドラマ「半沢直樹」の新シリーズが放送されるとあって、スポニチに「香川照之は監督に言った「土下座はしたくない」 台本のわずか一文が20分超 伝説シーンの舞台裏」という記事が載っていた。
大和田常務役を演じた香川照之さんは記事によると、「僕は“土下座はしたくない”と監督に言ったんですね。僕が知ってる大和田のような人は、絶対に土下座はしませんよ、と」言ったそうだ。
香川さんの分析は、優れていると思う。
2013年放送の「半沢直樹(全10話)」での大和田常務について考えてみる。2020年放送の続編では、キャラクターが少し違ってしまった部分が見られたので、異なると思う。
大和田常務は、自分が行ったことが、どんなにばれても、自分の否を認められない、他者に謝ることを極端に避けるタイプだと思った。
そういうタイプでも、普段のちょっとしたこととか、相手が自分の崇拝する人なら、「すいません」という人もいるが、自分にダメージが加わる重大な過ちほど、謝ることはない。
ドラマでは、大和田常務が若い頃、金沢支店にいて、半沢直樹の実家の半沢ネジも担当していた。そこで、お父さんの会社は大変なことになるのが、この物語の発端である。ドラマで、半沢直樹が東京で大和田常務と会った際、金沢でのことを聞くシーンがある。大和田常務は、半沢ネジのことをどの程度、覚えているのか、よくわからなかった。
ただ、一般には、このタイプの人は、自分にとって都合の悪い過去は、聞かれても否認するか、もしくは本当に覚えていないか、自分に都合のいい記憶と解釈にすり替わってしまっていることもあり得る。その人の記憶がどうなっているかは、他人には見えないので、判断が難しい。
ドラマの大和田常務は、大銀行で出世した人なので、社会のこと、人々の人間関係を、実によく把握している面がある。しかし、物事の判断で、自分が有利になることが中心となり過ぎる。
相手の立場になって考えて、相手がどれほど嫌な思いをするか、それを想像して共感する能力がどれくらいあるかは、個人差が大きい。
他者とうまくやっていくためにカギとなるのは、他者に共感する能力である。
状況を広く把握できているが、他者への共感する感性が少ないタイプの場合、他の人なら躊躇するような売り込み方、会議で提案を押し通してしまうことが大胆にできてしまう人もいる。そのため、案外、組織の中で出世してしまうことがある。おまけに、損得に敏感なタイプなら、銀行の仕事は向いているかもしれない。
ただ、こういう人が、トップや上司に君臨した組織は、大企業であれ、小さな部課や組織であれ、部下や関わる人たちが大変である。
また、大和田常務のようなタイプは、社会の表面的には、仕事ができるし、肩書や年収がすばらしいので、好ましい人物と思われていることもある。
そして、お金であれ名誉であれ、欲望には忠実なので、プライベートでも異性に対して、自分がほしいと思った相手をゲットするのは、うまいかもしれない。しかし、結婚した後に、相手が、徐々に外面と内面とのギャップに気づいていってしまうことになりがちだと思う。
大和田常務の奥様は、アパレル会社の棚橋社長として登場する。彼女の会社が経営難に陥ったときに、借金をむやみに行い、街金にまで広げてしまった。棚橋社長も、実際にいそうな設定で、よくできたドラマだと思う。大和田常務は、金沢支店に赴任していた頃、棚橋社長との結婚はどうだったのだろうかと思った?
普通の女性では、大和田常務の妻を続けるのは大変で、もし続いたとしても表向きは大銀行の重役の奥様でも、内面的には違う仮面の夫婦を演じてしまうことになりかねないと思う。
ドラマを面白いと思うファンも多いだろう。
ただ、主人公の半沢直樹やその同期の仲間は、いじめのような画策に出合うし、強い口調が交わされる場面もある。そのため、ドラマを見る人の中には、つらく感じてしまう人もいるかもしれない。
また、2013年放送の最終回の大和田常務の土下座は、しない方がリアリティあったと思う。
しかし、物語としては、土下座をするという約束を果たした方が、すっきりする。フィクションのドラマだし、多くの人に伝わることを考えると、こういう結末でよかったと思う。
そして、2020年放送の脚本は、こうしたリアリティよりも、ドラマとしての面白さの方により傾いてしまったと思った。
「やられたら、やり返す」だと、戦争のようにラリーがその後も続いてしまいかねない。
「やってしまったことは、償う」の方が人の道にかなっている。
注:他者への共感能力が、極端に乏しいタイプを、サイコパスと呼ぶこともあるが、これは診断基準で、正式に認められた用語ではない。また、ドラマの大和田常務は、社会に非常に適応できている部分もあり、サイコパスに該当するかどうかはわからない。
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大和田常務役を演じた香川照之さんは記事によると、「僕は“土下座はしたくない”と監督に言ったんですね。僕が知ってる大和田のような人は、絶対に土下座はしませんよ、と」言ったそうだ。
香川さんの分析は、優れていると思う。
2013年放送の「半沢直樹(全10話)」での大和田常務について考えてみる。2020年放送の続編では、キャラクターが少し違ってしまった部分が見られたので、異なると思う。
大和田常務は、自分が行ったことが、どんなにばれても、自分の否を認められない、他者に謝ることを極端に避けるタイプだと思った。
そういうタイプでも、普段のちょっとしたこととか、相手が自分の崇拝する人なら、「すいません」という人もいるが、自分にダメージが加わる重大な過ちほど、謝ることはない。
ドラマでは、大和田常務が若い頃、金沢支店にいて、半沢直樹の実家の半沢ネジも担当していた。そこで、お父さんの会社は大変なことになるのが、この物語の発端である。ドラマで、半沢直樹が東京で大和田常務と会った際、金沢でのことを聞くシーンがある。大和田常務は、半沢ネジのことをどの程度、覚えているのか、よくわからなかった。
ただ、一般には、このタイプの人は、自分にとって都合の悪い過去は、聞かれても否認するか、もしくは本当に覚えていないか、自分に都合のいい記憶と解釈にすり替わってしまっていることもあり得る。その人の記憶がどうなっているかは、他人には見えないので、判断が難しい。
ドラマの大和田常務は、大銀行で出世した人なので、社会のこと、人々の人間関係を、実によく把握している面がある。しかし、物事の判断で、自分が有利になることが中心となり過ぎる。
相手の立場になって考えて、相手がどれほど嫌な思いをするか、それを想像して共感する能力がどれくらいあるかは、個人差が大きい。
他者とうまくやっていくためにカギとなるのは、他者に共感する能力である。
状況を広く把握できているが、他者への共感する感性が少ないタイプの場合、他の人なら躊躇するような売り込み方、会議で提案を押し通してしまうことが大胆にできてしまう人もいる。そのため、案外、組織の中で出世してしまうことがある。おまけに、損得に敏感なタイプなら、銀行の仕事は向いているかもしれない。
ただ、こういう人が、トップや上司に君臨した組織は、大企業であれ、小さな部課や組織であれ、部下や関わる人たちが大変である。
また、大和田常務のようなタイプは、社会の表面的には、仕事ができるし、肩書や年収がすばらしいので、好ましい人物と思われていることもある。
そして、お金であれ名誉であれ、欲望には忠実なので、プライベートでも異性に対して、自分がほしいと思った相手をゲットするのは、うまいかもしれない。しかし、結婚した後に、相手が、徐々に外面と内面とのギャップに気づいていってしまうことになりがちだと思う。
大和田常務の奥様は、アパレル会社の棚橋社長として登場する。彼女の会社が経営難に陥ったときに、借金をむやみに行い、街金にまで広げてしまった。棚橋社長も、実際にいそうな設定で、よくできたドラマだと思う。大和田常務は、金沢支店に赴任していた頃、棚橋社長との結婚はどうだったのだろうかと思った?
普通の女性では、大和田常務の妻を続けるのは大変で、もし続いたとしても表向きは大銀行の重役の奥様でも、内面的には違う仮面の夫婦を演じてしまうことになりかねないと思う。
ドラマを面白いと思うファンも多いだろう。
ただ、主人公の半沢直樹やその同期の仲間は、いじめのような画策に出合うし、強い口調が交わされる場面もある。そのため、ドラマを見る人の中には、つらく感じてしまう人もいるかもしれない。
また、2013年放送の最終回の大和田常務の土下座は、しない方がリアリティあったと思う。
しかし、物語としては、土下座をするという約束を果たした方が、すっきりする。フィクションのドラマだし、多くの人に伝わることを考えると、こういう結末でよかったと思う。
そして、2020年放送の脚本は、こうしたリアリティよりも、ドラマとしての面白さの方により傾いてしまったと思った。
「やられたら、やり返す」だと、戦争のようにラリーがその後も続いてしまいかねない。
「やってしまったことは、償う」の方が人の道にかなっている。
注:他者への共感能力が、極端に乏しいタイプを、サイコパスと呼ぶこともあるが、これは診断基準で、正式に認められた用語ではない。また、ドラマの大和田常務は、社会に非常に適応できている部分もあり、サイコパスに該当するかどうかはわからない。
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